これまで多くの方の適正な後遺障害の等級認定を勝ち取ってきた交通事故被害者応援団が取り扱ってきた交通事故によって下肢を損傷した事例をもとに、下肢障害に分類される症状や治療上の注意点についてご紹介いたします。

ご紹介する内容について、深くご理解いただき安心して治療に専念できる一助となれば幸いです。

下肢障害とは

下肢とは、人間の股関節から足のつま先を指し、大腿骨、ひざ関節、足関節が3大関節とされています。

下肢障害には、主に一方の長さが短縮する下肢短縮、半月板損傷および腓骨骨折から生じる偽関節があります。

半月板とは、膝関節の中にある三日月のような形をした軟骨組織で、膝の内側と外側にそれぞれあり、膝の安定や歩行または走行といった移動時に膝関節に加わる負荷を和らげるクッションの役割を果たす組織です。

半月板の損傷は、加齢による変性、労働およびスポーツなどによっても損傷を受けることから、交通事故との因果関係について争点となりやすいため、早期の検査を受けておくことが必要です。

偽関節とは、腓骨(脛骨の隣にある骨)の骨折部の骨の癒合が起こらず、異常な可動性がみられる状態が残り、これにより足関節の変形、安定性・運動性の減少、亜脱臼および疼痛、下腿の支持機能の減弱等を生ずる後遺障害です。

人の日常生活の動作において欠かせない組織である下肢が交通事故により損傷した場合、日常生活および労働に支障をきたすことから賠償の対象となっています。

下肢障害の治療

医師による診断

交通事故の後、足に痛みやしびれがあるときは、速やかに医師による診断および治療を受けてください。

交通事故現場では動揺しているため気付かないこともありますが、どんな些細なことでも身体に異変を感じるときは救急車を利用し至急病院へ向かい受診することをお勧めいたします。

救急搬送された事実の有無が、後遺障害の等級認定を判断する際において大きく影響することがあります。

交通事故が発生した直後に病院へ行かず、交通事故から数日経過した後に病院へ向かっても、その痛みが交通事故によるものなのか、それとも他の原因によるものなのかが不明となります。

原因が解明できない痛みについて、相手方の保険会社が治療費や慰謝料を支払うことはありません。

それどころか、交通事故との因果関係を否定し交通事故による損傷ではないことを主張してくることが考えられます。

稀に、痛みやしびれが続くのであれば2週間後に来るよう初診時に指示する医師がいますが、治療の観点からも後遺障害の適切な認定という観点からもすぐにでも病院を変えてください。

診断時に注意すること

交通事故による痛みやしびれなどの症状を医師に伝えるときは、できるだけ正確に伝えてください。

医師は、初期の症状として患者の主張をカルテに記載します。

症状について、伝え忘れがあったまたはうまく伝わっていなかった場合、当然、その内容についてカルテに記載されることはなく、最初からその症状はなかったものとして扱われます。

そうなると、後発した痛みやしびれなどの症状については交通事故によって発生したか不明となり、後遺障害の等級が認定されないまたは認定されても不本意な認定となることがあります。

検査の実施

病院での受診後、数日経っても痛みやしびれが治まらないときは、早期にMRI検査を実施してください。

交通事故によるケガのため病院へ向かった場合、必ずと言っていいほどの確率でレントゲン検査は実施されますが、MRI検査はあまり実施されません。

膝周辺に痛みがあっても、レントゲンで骨折が確認されなければ特に治療されないことがありますが、半月板を損傷していることがあるので注意してください。

半月板などの軟部組織の損傷は、レントゲンではなくMRIを用いなければ判断できません

通院している病院にMRIの設備がなくても、医師に伝えると紹介状を作成してくれるため、紹介状記載の病院でMRI検査を受けることができます。

MRI検査では、外傷性の異常はなく、加齢による身体の変化(経年変化)とされることが多いです。

経年変化と認められる場合であっても、膨隆や圧迫などの異常個所が発見されれば後遺障害は認定されやすくなります。

通院期間中

交通事故により損傷した部位およびその周辺に継続して痛みやしびれがある場合、医師の指示によるリハビリを受けたり、診察または治療を受けてください。

医師による診察は通院する度に受診する必要はなく、2週間や1カ月に1回程度でも構いません。

交通事故によるケガに対しておこなわれるリハビリなどの治療は、週に3回~4回受けることをお勧めしています。

リハビリなどの治療または診察の頻度は、痛みやしびれといった症状が最も強いため、交通事故直後が高くなり、時間の経過とともに低くなっていくものだと考えられています。

明確な基準の公表はありませんが、半月板や足腱板を治療するための通院回数が極端に少ないまたは通院期間中に2週間以上治療を受けていない期間があるなどに該当すれば、後遺障害が認定されることはほとんどありません。

継続してリハビリなどの治療を受けているにも関わらず、痛みやしびれが続くのであれば、下肢障害の場合、最低半年間は通院してください。

通院期間についても明確な基準の公表はありませんが、半年未満で治療を終えた場合において後遺障害が認定されたことはありません。

整骨院・接骨院への通院

交通事故により損傷を受けた部位を治療するため、整骨院や接骨院に通院すること自体は問題ありません。

ただし、後遺障害と認定されるためには、原則として医師が在籍する病院への一定程度の通院が要件とされています。

最高裁判所は判例で、整骨院および接骨院等による交通事故の治療が例外的に通院と認められるのは次のいずれかに限ると明示しています。

  • 医師の指示がある場合

  • 症状により有効かつ相当と認められる場合

病院と並行して整骨院や接骨院へ通院すること自体は構わないですが、病院への通院実績と混同してしまった場合、通院回数の不足を理由に後遺障害と認定されなくなることがあります。

下肢障害と後遺障害

症状固定

医師から症状固定予定日を告げられたら、後遺障害診断書を作成する準備を始めます。

症状固定とは、そのまま治療を継続しても著しい改善が見込めなくなった状態のことです。

【注意】症状固定日は医師が決めるもので保険会社が独自に決定して医師に定めるよう指図するものではありません

下肢障害の後遺障害診断書には、レントゲンやMRIなどの画像検査結果またはティネル徴候検査および感覚(触覚・痛覚・温度覚・振動覚)検査などの結果を記載してもらいます。

完成した後遺障害診断書は、被害者請求と呼ばれる方法で自賠責保険会社に提出し、後遺障害の等級認定を申請します。

交通事故被害者応援団へご依頼いただいた場合、症状固定日以降の後遺障害診断時におこなわれる検査に同行し、適切な後遺障害等級認定に向けた後遺障害診断書の作成を医師に指示いたします。

交通事故発生直後から症状固定日を迎えるまで準備してきた数々の資料に加え、症状固定日時点のお客さまの主張および身体の状況についての意見書を添付し、後遺障害の等級認定申請を代行いたします。

下肢障害の後遺障害の等級

下肢障害における後遺障害の等級認定基準は、下肢と足指に区分され、さらに左右が別の部位とされています。

後遺障害として認定される障害には、欠損障害、機能障害および変形障害があります。

欠損障害の認定基準

自賠責の後遺障害等級表では、下肢の欠損障害および短縮障害について、それぞれ等級を定めています。

年少者の場合、交通事故により受傷した下肢が短縮するのではなく過成長によって長くなることがあります。

その場合、短縮に準じた相当等級が認定されます。

下肢の欠損障害
等  級 障害の程度
1級5号 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
2級4号 両下肢を足関節以上で失ったもの
4級5号 いずれかの下肢をひざ関節以上で失ったもの
4級7号 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
5級5号 いずれかの下肢を足関節以上で失ったもの
7級8号 いずれかの足をリスフラン関節以上で失ったもの

「下肢をひざ関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかの状態をいいます。

  • 股関節において、寛骨と大腿骨を離断したもの

  • 股関節とひざ関節との間において切断したもの

  • ひざ関節において、大腿骨と脛骨と距骨とを離断したもの

「下肢を足関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかの状態をいいます。

  • ひざ関節と足関節との間において切断したもの

  • 足関節において、脛骨と距骨とを離断したもの

「リスフラン関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかの状態をいいます。

  • 足根骨(踵骨、距骨、舟状骨、立方骨および3個の楔状骨で構成されている。)において切断したもの

  • リスフラン関節において、中足骨と足根骨とを離断したもの

両足をリスフラン関節以上で失った場合は、併合の扱いではなく組み合わせ等級として定められている4級と認定されます。

下肢の短縮障害および過成長
等  級 障害の程度
8級5号 いずれかの下肢を5cm以上短縮したもの
8級相当 いずれかの下肢が5cm以上長くなったもの
10級8号 いずれかの下肢を3cm以上短縮したもの
10級相当 いずれかの下肢が3cm以上長くなったもの
13級8号 いずれかの下肢を1cm以上短縮したもの
13級相当 いずれかの下肢が1cm以上長くなったもの

下肢の過成長の場合は、上記表のとおり短縮に準じて相当等級と認定されます。

足指の欠損障害

足指の欠損障害については、「足指を失ったもの」と定められているのみです。

「足指を失った」とは、足指の付け根からなくなっている状態を指します。

等  級 障害の程度
別表第二備考の定義 その全部を失ったもの
具体的な切断位置 中足指節関節(MTP)から失ったもの

機能障害の認定基準

機能障害とは、3大関節(股関節・ひざ関節・足関節)の動きの障害のことで、その程度および障害が両下肢またはいずれかの下肢に生じているかによって等級が認定されます。

下肢の機能障害は、受傷部位への必要な治療と機能が回復するために必要な時間の経過によって後遺障害の等級が判断されます。

骨折部に髄内釘(キュンチャー)や金属釘を用いたことが機能障害の原因となっている場合、それらを除去した時点から後遺障害の等級認定をおこないます。

骨折部に髄内釘や金属釘を用いたことが機能障害の原因とはならない場合、創面治癒の時点より後遺障害の等級認定をおこないます。

また、ギプスなどで固定後に残った廃用性の機能障害については、将来における障害の程度の軽減を考慮したうえで後遺障害の等級認定をおこなうものとされています。

下肢の機能障害

下肢の機能障害の認定基準は、次の通りです。

等  級 障害の程度 病  態 備  考
1級6号 両下肢の用を全廃したもの
5級7号 いずれかの下肢の用を全廃したもの 下肢の3大関節のすべてが硬直したもの
下肢の3大関節が硬直したものに加え足指全部が強直しても別途、評価して等級を上げたりしない
8級7号 いずれかの下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 硬直または完全弛緩性麻痺かそれに近いもの 置換術で可動域が2分の1以下に制限されるもの
10級11号 いずれかの下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 可動域2分の1以下 置換術で可動域が2分の1を超えるもの
12級7号 いずれかの下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 可動域4分の3以下

強直とは、関節がまったく稼働しない、またはこれに近い状態(腱側の関節可動域の10%程度以下に制限された状態)のことで、関節可動域が10度以下に制限されている場合も「これに近い状態」と判断します。

完全弛緩性麻痺に近い状態とは、他から働きかけられた力(他動)では稼働するが、自動では腱側の関節可動域の10度程度以下となったもののことで、関節可動域が10度以下に制限されている場合も「これに近い状態」と判断します。

複数の主要運動(各関節における日常の動作にとって最も重要なもの)がある場合における

  • 「関節の用廃」とは、主要運動のすべてが「強直」した場合をいいます。
  • 「著しい機能障害」および「(単なる)機能障害」は、主要運動のいずれか一方が2分の1以下または4分の3以下に制限されていれば認められます。

人工関節または人工骨頭を挿入置換したものであっても、その可動域が2分の1以下に制限されていないときは、「用を廃したもの」(8級6号)ではなく「著しい機能障害」(10級7号)とされます。

動揺関節

動揺関節とは、交通事故による損傷のため関節の安定性機能が損なわれてしまい、関節の可動性が正常時より大きく、あるいは異常な方向への運動が可能となったものをいいます。

動揺関節の認定基準

動揺関節ついて、後遺障害等級表に記載されていませんが、その運動が自動的または他動的を区別することなく、次の相当等級が認定されます。

等  級 状  態 相当等級
8級 常に硬性補装具を必要とするもの 8級7号の「用を廃したもの」に準じる
10級 時々硬性補装具を必要とするもの 10級11号の「著しい機能障害」に準じる
12級 重要な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの 12級7号「(単なる)機能障害」に準じる
12級 習慣性脱臼または段発膝 12級7号「(単なる)機能障害」に準じる
動揺関節の検査方法

動揺関節の検査方法には、次のようなものがあります。

画像検査

ストレスⅩ線写真:関節に負荷をかけて状態で撮影されるⅩ線写真

膝関節特有の検査方法

前十字靱帯の損傷を調べる:ラックマンテスト、前方引き出しテストなど

後十字靱帯の損傷を調べる:後方引き出しテストなど

足指の機能障害

足指の機能障害の程度は「足指の用を廃したもの(用廃)」のみとなっています。

「足指の用廃」は自動車賠償保障法施行令別表第二の備考5に定められており、障害認定基準において具体的態様が説明されています。

第一指(親指) 第一指以外
別表第二
備考5の
定  義
  1. 末節骨の半分以上を失ったもの
  2.  
  3. 指節間関節(IP)に著しい運動障害を残すもの
  1. 遠位指節間関節(DIP)以上を失ったもの
  2.  
  3. 中足指節関節(MTP)もしくは近位指節間関節(PIP)に著しい運動障害を残すもの
具体的
態 様
末節骨の長さの半分以上を失ったもの 中筋骨もしくは基節骨を切断したもの
遠位指節間関節もしくは近位指節間関節において離断したもの
指節間関節の可動域が腱側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの 中足指節関節または近位指節間関節の可動域が腱側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの

変形障害の認定基準

認定基準が定めている上肢の変形障害には、次のものがあります。

  • 偽関節(仮関節)を残すもの

  • 長管骨に癒合不全を残したもの

偽関節(仮関節)とは、骨折等による骨片間の癒合機転が止まって、異常可動を示すことです。

硬性補装具を必要とする障害については運動障害とされるため、「癒合不全」を変形障害と主張するためには長管骨に癒合不全が生じていることが必要となります。

等級 障害の程度 認定基準
7級10号 1下肢に偽関節を残し著しい運動障害を残すもの 次のいずれかに該当し、常に硬性補装具を必要とするものを いいます。
  • 大腿骨の骨幹部または骨幹端部(以下「骨幹部等」という。)に癒合不全を残すもの
  • 脛骨および腓骨の両方の骨幹部等に癒合不全を残すもの
8級9号 1下肢に偽関節を残すもの 次のいずれかに該当するものをいいます。
  • 大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要としないもの
  • 脛骨および腓骨の両方の骨幹部等に癒合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要としないもの
  • 脛骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要としないもの
12級8号 長管骨に変形を残すもの 次のいずれかに該当するものをいいます(これらの変形が同一の長管骨に複数の障害が残存している場合もこれに含む)。
  1. 次のいずれかに該当し、外部から見てわかる程度以上のもの
    • 大腿骨に変形を残すもの
    • 脛骨に変形を残すもの(その程度が著しいものはこれに該当)
  2. 大腿骨または脛骨の骨端部に癒合不全を残すものまたは、脛骨の骨端部等に癒合不全を残すもの
  3. 大腿骨または脛骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
  4. 大腿骨または脛骨(いずれも骨端部を除く)の直径が3分の2以下に減少したもの
  5. 大腿骨が外旋45度以上または内旋30度以上変形癒合しているもので次のいずれにも該当しているもの
    • 外旋変形癒合にあっては、股関節の内旋が0度を超えて可動できないこと
      内旋変形癒合にあっては、股関節の外旋が15度を超えて可動できないこと
    • レントゲン写真等により、大腿骨骨幹部の骨折部に回旋変形癒合が明らかに認められること

下肢障害に詳しい専門家とは?

交通事故に関する業務について専門的に取り扱っていない場合、交通事故による下肢短縮や偽関節などの下肢障害について、詳しくなくても仕方のないことかもしれません。

交通事故を取り扱っている専門家だと謳う者であったとしても、下肢障害が惹き起こす症状や病態に精通しているとも限りません。

交通事故当初から他覚的所見やあなたが訴える症状をもとに適切な後遺障害の等級認定を見据えた治療法や検査の実施について説明または提案できる者こそが後遺障害を取り扱う専門家だと考えています。

たとえ敏腕弁護士であっても後遺障害非該当となれば、その後の示談交渉や裁判手続きにおいて納得できる結果を導き出すことはとても難しいです。

ウェーブ行政書士事務所では、あなたの利益を最大限確保するための適正な後遺障害の等級認定の取得を第一の目標としています。

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